確定申告期限は例年3月15日(2021年は特例で4月15日)ですが、よく聞くのが
「期限までに提出しなきゃいけない!急がなきゃ大変なことになる!」
「でも確定申告初めてだし複雑で難しそう、今から勉強しても間に合うかわからない…」
「毎年税務署に提出に行くんだけど、混雑しててつらい…」
というお悩みです。
でもちょっと待ってください、実は期限の3月15日を守らなくて大丈夫な確定申告もあることをご存じですか?
確定申告でも、還付になることが明らかな確定申告については、最大5年間は確定申告してなくても、ペナルティも何もありません。
さらに、税務署にわざわざ行って提出しても、郵送でも結果は全く変わらないんです!
一般の方なら一年に一回しかできない確定申告ですが、以前会計事務所で働いていたので確定申告を一年に100件くらい見る事もありました。
そんな経験から知ることができた、確定申告で意外に知られていない事について説明します!
確定申告で「期限を守る必要がある人」「期限を守らなくていい人」の違い
確定申告を期限内(例年3月15日)までに済ませる必要のある人は?
確定申告の期限を守らなくてはいけない人は以下の人たちです。
- 税金を支払う事になる人
- 確定申告の期限を守ること条件に優遇される税制を使っている人
具体的には、
税金を支払う人は2か所以上から給与をもらっている人や個人で所有しっていた土地や建物の資産を売却して利益が出ている人が、黒字になっている=税金がかかる人になります。
確定申告の期限を守ることが条件になっている人は、個人事業主で青色申告を利用している人です(利益が出ていない場合でも!)
つまり、税務署からすると
「税金を支払う期限が来ているのに支払う手続きを済ませていない!」
「確定申告を期限通りに申告する条件で便宜を図ってる(青色申告の優遇税制)のに約束守ってない!」
という人達になるわけです、税務署から見るとルール守ってほしい!という事で期限が厳しいわけですね。

確定申告の期限(例年3月15日)を過ぎても大丈夫な人は?
確定申告の期限を過ぎても大丈夫な代表的な例は以下の人たちです。
- 医療費が年間10万円超えたので確定申告
- ふるさと納税したので確定申告
- 住宅を購入して住宅購入借入金が発生したので確定申告
この人たちは、先ほどの確定申告を守らなければならない人と違って
「税金を支払う必要が無くて、むしろ税務署からお金が戻ってくる」
という人たちになるわけです。
税務署からもこの人たちに対しては寛大な措置が取られていて、以下URLにあるように
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
還付申告/国税庁
という事で、「最大5年は受け付けますよ、ペナルティも何もないですよ~」となっています。
税務署から見ると税金を返金することになるため、本人から言われない限りは返さないよ~というわけです。
(支払ってほしい時とは態度が全然違いますよね!むしろ申告しなくても返金してほしいくらいですが(笑))
ちなみに私の体験談として、医療費控除を3年ほどためて一気に申告しましたが、何も問題なく返金してくれました。
以前は私自身が会計事務所に勤めていたため、他の人の確定申告に忙しくて自分の確定申告を後回しにしていたからなのですが…
仕事が落ち着いてから確定申告できたので、焦って間違えた申告をすることもなくきちんとチェックして申告できたので、あせらずに行える確定申告っていいなと思ったものです。

税務署に行かなきゃ正しい申告ができない、と思ってませんか?郵送で大丈夫ですよ!
税務署に出向いて提出は大変です…
はじめて確定申告をする場合は誰かに確認してもらいたいので、確定申告書をもって税務署に行く人がいらっしゃると思います。
ただ税務署に直接提出で特に申告期限日などになった場合、場所によっては3~4時間並んだりするようで、相当な時間を取られるし時期的に寒いしで本当につらいようです…
でも、最初はともかく何回か申告していたら大体申告内容はわかってますよね、それなら郵送にしても大丈夫です!
確定申告をはじめとする申告書については、税務署から以下の通り告知が出ています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/06.htm
Q25 作成した申告書は税務署に郵送して提出することもできるのですか。
A 作成した申告書は税務署に郵送して提出できます。
申告書の提出/国税庁
さらに最近では、Web上で言われた通り入力するだけで確定申告書が作成できるシステムを、国税庁が公開してくれています!
昔はともかく、かなり使いやすくなってると思いますので、使ってみてはいかがでしょうか。
所得税の確定申告/国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm

とはいえ税務署職員に見てもらうと安心!という方へ
という事で郵送できる事を書きましたが、
「郵送できることは知ってるよ!でも直接税務署の人に確認してもらったら間違いないでしょ?税務署の人が見たってお墨付きになるし!」
という方もいらっしゃると思います。
ですが、実は直接持ち込みして提出して税務署の人に相談して作った申告書でも
「職員」が見て判断しても、あとから「税務署」がその判断が間違いだったと判断する
事はざらにあります!
えっ?税務署職員なのに?と思われるかもしれませんが、実は税務署職員は相談してきた納税者が話した内容から判断できる内容だけでできるアドバイスまでしかできません。
個人には、税務署としての判断までは権限的にも持つことができないのです。
そのため、税務署に出向いて職員の人に相談して作った確定申告書でも、後日税務署から申告書の内容調査があってやっぱりダメって言われるケースがあります(税務調査でまさにそういう場面に立ち会いました…)。
税務署職員の方に相談して作っても、お墨付きにはならないよ、という事ですね。
内容が間違ってたら申告が全部ダメになる!…ってことは無いよ
「そんなこと言っても、間違ってたら申告がダメになっちゃうでしょ…それなら確認してもらったほうが良いよ」
という理由で事務的な間違いを避けるために税務署で提出する方もいるかもしれません。
この場合は税務署に行ったほうが確実かもしれません、特に初めての申告で右も左もわからない!なら選択肢としてありだと思います。
ですが何度か確定申告を経験していて慣れている方であれば、郵送を視野に入れても良いかと思います!
実際問題として、自分の名前や住所を間違えるとかでない限り、内容がどこか間違っているくらいなら税務署から確認が入ったりする程度で修正も可能です。
また、実は確定申告には「修正申告」というものがあります。
個人でお目にかかる事は少ないかもしれませんが、会計事務所ではよく使われる方法になります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/07.htm
Q27 確定申告の内容が間違っていた場合、どのような手続をすればよいのでしょうか。
A 確定申告期限内に誤りに気付いた場合は、改めて申告書等を作成し、確定申告期限までに提出してください。また、確定申告期限後に誤りに気付いた場合は、次のような手続で申告した内容を訂正します。
申告が間違っていた場合/国税庁
この制度があるので、少しぐらいの申告の間違いがあっても気にせず申告してしまっても大丈夫です。
ただもちろん、意図的に間違えると全然意味合いがちがってきますので、正しい申告をする意識で行うのが大前提にはなりますよ!
税務署も人が運営しているので、悪意なく間違えている場合と税金をちょろまかそうとしている場合では、対応が全然違います。絶対に敵に回してはいけない相手ですね。
・確定申告の期限を守らなくてもいいのは「還付申告」
・持ち込みで申告しても税務署のお墨付きにはならない
・申告内容が多少間違っててもリカバリー可能!
確定申告はこうでなきゃダメ、というイメージがある方も多いかと思いますが、意外と柔軟な対応が可能な制度です。
今回お伝えした以外にも細かい小技があったりしますので、それはまた次回以降にでも!
ここまで読んでいただきありがとうございました!